レッスンでは常々お伝えする機会があるのですが
現代は様々な科学が発展した、文明社会です。
あらゆることがエビデンスを持ち、数値で表現される時代。
食の世界も同様に、なんでも可視化や管理ができるようになりました。
わかりやすい例でいうと、賞味期限。
いま、日本で手に入る食品の多くには、賞味期限などの表示義務があり
消費者は、それらを元に、食品を購入したり食べたりします。
もっとも身近で、参考にされるのが、賞味期限と消費期限(※)ではないでしょうか。
これらは主に製造者が、科学的かつ合理的に勘案し、決定されたもので
厳しい日本の基準に基づき設定されるので、かなり信頼度の高いものと言えるでしょう。
ですが、このような方法のなかった時代。私たちのおじいちゃんやひいおじいちゃん以前の時代は
自分の「感覚器」を用いて、これらを判断していたのです。
(※)「消費者庁ホームページ 食品表示について」より一部抜粋
人間は生まれながらに、あらゆる感覚器を持っています。
これは厳しい環境を生きるために進化・発達したもので、ものすごい底力を秘めています。
文明が発達した世の中では、科学や技術の力で、安心や安全が確保できるようになるので
感覚器を使う機会がぐんと減少します。
人間の感覚器官は、使わなければどんどん退化・麻痺していきます。
食の面でも、現代はいつでも食糧が手に入り、安心や安全が可視化され
食材の鮮度も保証され、一年中世界各国色とりどりの食材が入手できます。
便利な反面、本能的に備わった能力や感覚が、鈍感になっていると感じます。
食欲においても同様で
本来、私たちは必要に応じて空腹を感じ、美味しさを感じ、食行動に至ります。
でも、現代のように、24時間いつでも食料に囲まれ、誘惑に駆られ
味の濃いものやスナック菓子、カップラーメン、甘いものに舌が慣れ
本来の食行動が、乱れてしまっているように見えます。
『からだの声を聴く』聴ける状態、聴こうとする意識を持つことは、とても大切。
そして、本当に必要な基準を知ることも大切です。
利便に溺れず、人間本体の「らしさ」を失くさずいたいですね。